森会長の発言から考える、日本に根付く通念「男尊女卑」
1. 森会長の発言への印象
先日の森会長の発言は、世界から批判を受けた。アメリカ・フランスでも報道がなされた。
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」
正直、私は会長がなぜこの発言をしたのか、想像できるように感じた。
私は以前「女性は結論から話さず、最初から順に話す」という記事をどこかで見かけた。私の性は女性であるが、言われてみればそうかもしれない、と思う。
これに女性全員が当てはまることはnever happenであり、典型的な女性像を作っているひとつの説かもしれない。
しかし、これら一般女性のイメージが世間にあるとして、議会に入るエリート女性のイメージに結び付けるのは早急である。
そもそも議会に入る人は、女性であれ男性であれ「適切な話し方」をわきまえるのが前提であろう。
話が長くならないように、要点を絞って話すことに性差は関係ない。
2.世界から見て気づく日本の「異常さ」
日本は世界から見て、男女差が非常に激しい国だ。
世界経済フォーラムのグローバル・ジェンダー・ギャップ(世界男女格差)レポート2020で、日本のジェンダー・パリティの指数は153か国中121位となっています(中略) 現時点での順位を元にすると、日本のジェンダー・ギャップは先進国最大です。
さらに記事は、日本は女性の政治参画における格差が、世界で最低10か国内に入っているという事実を後述している。
日本のトップ、そこに集うのは男性ばかり。
なぜ、男女格差において、ここまで日本が落ちぶれているのだろう。
3.日本における「男尊女卑」という観念
そこに先日、痴漢加害者の心理を追った記事で読んだ「男尊女卑」という言葉が頭に浮かんだ。
(斎藤)そういった考え方の根底には、実は日本社会に根強く残る「男は女より上である」という男尊女卑の価値観が大きく影響しているのです。
(中略)
(阿部)「男性は内面の問題が性のシーンで表出しやすい」と著書にありましたが、痴漢行為はなぜ男性の支配欲を満たすのでしょうか。
(斎藤)「性を介して女性を支配する」ことが、男性の支配欲求や征服欲を満たすための一種の行動である、という社会の価値観が加害者の心理に影響していると考えられています。
痴漢や強姦の場合は明らかに性暴力ですが、「男性が性を使うことで女性を支配する」「女性は男性の性欲を受け入れて当然である」という考え方は、性犯罪者に限らず多くの男性にとって昔から根強く残っている普遍的な思考であると私は考えています。(斉藤章佳,「男が痴漢になる理由」なぜ女性も知っておくべきなのか。満員電車でくり返される性暴力 | ハフポスト
なぜ痴漢をやめられないのか。性暴力の本質は、“性欲”ではない。 | ハフポスト (huffingtonpost.jp))
ここでは3段落目の「男性が性を使うことで女性を支配する」に着目したい。社会に存在するこのcommon ideaは、森会長の発言とつながるであろう。性暴力うちだけの話ではなく、社会全体がその考えを無意識に共有しているのではないかと私は疑う。
だから、テレビでインタビューされて森会長を批判するひとたちも、実はこういう通念を持っているのではないかと考えるのだ。同じ日本に暮らしてきて、その過程で日本の男尊女卑の思想がインプットされているのに、なぜ一般人全員が森会長とは違う思想を持っていると言い切れるのだろう?
教科書で、私たちは小学生のころからすでに男女格差是正の歴史をたどった。
しかし、この現状はあまりにも教科書が描く「理想の姿」とは乖離している。
だからこそ、この世代も、次の世代も実際に女性が社会参画するという感覚が得られない。
4.あなたはどうですか?
最後に、「男尊女卑」という観念が一般人にも根強く埋め込まれていることを、もう一度強調しておきたい。
女性が指導的地位に立つことへの否定的な見方が文化的に根付いているのも、経済面での向上が平等にならない理由のひとつとなっています。カンターとウーマン・ポリティカル・リーダーズ(WPL)の2018年の研究によると、大企業のトップが女性であることに好意的な人の割合は米国では63%であったのに対し、日本ではわずか24%でした。(拡大する日本の男女格差を埋めるには | 世界経済フォーラム)
あなたは、企業のトップが女性であることに好意的ですか?または好意的ではないですか?
なぜ、そう思ったと考えますか?