新・三銃士1を見た感想

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2009年から2010年にかけ放送されたnhkの連続人形活劇『新・三銃士』といえば、当時見ていたという人もいるのではないだろうか。人形特有の動きで独特の雰囲気を醸し出し、現代と中世フランスを繋ぐ、魅力のある作品だ。三谷幸喜が監督を務め、現在でもAmazonなどで購入可能である。

今回はその第1話から第5話までが収録された、DVD新三銃士1の感想を述べようと思う。結論から言うと、原作に忠実な物語の展開を期待している人には不向きである。それは、枢機卿側がはじめから完全な悪役になっているからだ。教育テレビで放送された子供向けの番組なので、登場人物を悪と正義にわかりやすく分けておこうという魂胆なのだろう。なので私がこの作品をおすすめしたいのは、原作は知らないけど大体話を知っておきたいという人、人形劇を楽しみたい人、ウルトラマンプリキュアのように、敵と味方がはっきりと分けられた分かりやすい話のほうが好みだという人である。

私が一番残念だと感じたのは、先に言ったように枢機卿がダルタニアンの意思に関係なく、必然的に敵として描かれていることである。例えば原作では生きてダルタニアンの出発を見送った父が、人形劇では王妃からの招集に応えようとしたためロシュフォールに殺されるというていになっている。また原作では、三銃士が親衛隊と戦うことになり、ダルタニアンは王側と枢機卿側どちらか一方につき、それを押し通さなければならないというときにはじめて、それまで枢機卿と王両方に従順であれと父から指示されていた彼が自分の意思で王側につくことを決心したのである。このことから、父の仇をとることが王側につく動機になっている人形劇とは、全くその動機にたどり着くまでの過程が異なっているのが分かるだろう。

しかし私が見たのは序盤の序盤であり、これから本編に進むにつれ、話は原作にもっと忠実になっているかもしれない。それを期待している。